Call…?

 

 

初めはさほど気にもとめなかった。

ましてや自分がそんな細かいことが気になるなんて思ってもみなかったし。

だが一度気になってしまえば、納得がいかなくなった。

 

 

「なぁ!一緒に飛空挺ん中見て回ろうぜ!!」

「えっ?!あ、ちょっとヴァン!走ったら危ないよ」

 

ヴァンは見ての通りの明るい性格だし、

とさほど歳も離れていないのだから

2人がすぐ馴れ親しむのも合点がいく。

 

 

「あのね、フラン。ちょっとお願いがあるんだけど…」

「何かしら?」

「ビュエルバに着いたら行きたいお店があるの。ほら、女の子って色々必要じゃない?

 でも1人で行くのはちょっと心細くて…一緒に行ってくれないかな?」

「ええ、いいわよ。行きましょう。」

 

 

これもまぁ納得できた。

女同士ということもあるだろうし、フランもフランで

を気に入っていたのは知っていたし。

打ち解けるのも必然ということだ。

 

納得がいかないのはここからだ。

 

 

 

「そういえばバッシュさん。牢獄での傷はもう大丈夫なの?」

「あぁ、君の魔法のおかげでよくなった。迷惑をかけてすまなかったな。」

「全然!こちらこそナルビナでは沢山庇ってもらったし…。ふふっ、おあいこね。」

「ははっ。ではそういうことにしておこう。」

 

 

将軍にも

 

 

 

「ノノさんっノノさん!あのっ…ぎゅ〜ってしちゃ駄目?」

「ぎゅ〜クポ?全然いいクポ!それにノノのことはノノって呼べばいいクポ!」

「本当?ありがとうノノ!わ〜ふかふかぁ…かわいいなぁ…。」

 

 

あげくノノにまでも

楽しそうに話しているというのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここどこだろう…。ヴァンを追って来たものの…。 飛行船のなかで迷うなんて、私方向音痴なのかなぁ…。

う〜ん…でもこの船が大きすぎるのよ!うんっ、絶対そうね!」

「…それはどうも。」

「へっ!?わわっ…!」

 

 

 

大きいから迷うのだというの嫌味に礼を述べてやれば

突然の声に驚き、その拍子につまづいてよろけるを支えてやる。

 

 

「あ…ごめんなさい、バルフレアさん…。」

「…………。」

 

 

 

 

あいつらに向けられている顔は、俺には向けられていない。

そりゃあ自分の行動を振り返ってみたさ。

女性の扱いには注意を払ってはいるが、万が一ということがある。

だがどれだけ考えても、自分がに避けられるような 失礼をしたことはない。

 

 

「お前、俺が怖いのか?」

「え…?いや怖くはないですけど…?」

「なら何でそこまで俺によそよそしいんだ。何かしたか?」

 

 

うつむいてしまったをじっとみつめる。

自己満足にしか過ぎない問いかもしれないが、女に気を遣わせるのは性分じゃない。

同じ空賊であるフランにも、年上の将軍にも気軽で会話しているのだから

何故自分にはそこまで硬くなるのか、はっきりさせたい。それだけだ。

 

 

「………よ…。」

「…ん?」

 

「バルフレアさんが…私なんかにも紳士的だからですよ…!

 女性として、大切に扱ってくれるからですよ…! エスコートとかばっちりだし、

 わ、わたしは…そんなことしてもらったこと今までないし…だから頭の中がパニックになって、それで…」

 

 

真っ赤になって一気に話すを黙らせるように、ぐっと抱きしめてやった。

なんだ、そういうことなのか。

 

「だ…だから、そういうのが慣れてないんですってば…。」

「…顔が真っ赤だぞ。」

 

そういってやれば更に赤くなったの顔。

 

 

 

「う…じゃあしばらくこのままでいいです…!だから顔を見ないでください…。」

「ああ、分かった。だがそのためには一つ言うことを聞いてもらわないとな。」

「……?」

「その敬語やめろ。あと“バルフレアさん”なんて回りくどい呼び方するな。」

 

 

 

ひっかかっていたことを口にする。

よそよそしい態度が単に照れから来ているのだとわかれば、気兼ねなく言わせることが出来る。

嫌っているのなら話は別だが、そういう感じではなさそうだから。

 

 

「……バル、フレア…?」

「…そうだ。」

 

確かめるようにそう言われただけで、満たされる思い。

すると突然体を離して俺を見上げる

 

「じゃあ、私のことも名前で呼んでみてくだ…呼んでみて。」

 

 

そう言われれば、俺は確かにの名を呼んだことはなかったと。

言い方は違うとはいえ、まさかヴァンと同じ失敗をするとはな。

そんな簡単な願いなら、いくらでも叶えてやるさ。

 

 

 

「それが貴方様の願いなら、仰せの通りに。」

 

 

胸に手をあてて、軽く会釈する。

そんな俺の行動をみて怒ったのか。

 

 

 

 

「だ、だからそういう態度は弱いって言って「 “”。 」

 

いい終わらないうちに。

口の端をあげて、笑ってそう呼んでやる。

 

 

 

「な……!(お前のままでよかったかも・・・/// でも…やっぱり…)」

 

 

 

「ありがとう、バルフレア。」

 

 

の顔は、あいつらと話しているときと同じ笑顔だった。

 

 

 

「ヴァンを探すぞ。あいつほっといたら 船を壊しかねないからな。」

「あっ、うん!」

 

 

 

 

 

「ねぇ、バルフレア。」

「何だ?」

「ノノと1日だけ遊ばせて!かわいくってかわいくって…。」

「だめだ、ノノがいないと俺が大変だからな。」

「えーっ いじわる…!」

 

 

 

 

***

どうしてバルフレアがかっこよくならないんだろう…?

大人の余裕があまり感じられない一杯一杯なバルフレアに。。。

ちなみに長編の番外編みたいな。

某テニス漫画でいう3.5話みたいな…?

12のモーグリはかわいすぎる。ぎゅ〜ってしたいのは、結月の願望そのものです。